日々の風景

『岩国と都会、「何もない」のは、どちらか』  ~道徳教育講演会~  (2023/01/18)

岩国市が高校生を対象に調査したところ、約半数が岩国を出て生活したいと考えているようです。ふるさと“岩国”は、そんなに魅力のない街なのでしょうか。


そんな思いから、「里山資本主義」などの著書で知られる日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介さん(周南市出身)をお迎えした講演を、1月18日の6,7限に体育館で、1,2年次生を対象に実施しました。


『岩国と都会、「何もない」のは、どちらか』というテーマの講演では、藻谷さんがこれまでに日本全国や世界を旅して実感したことや、統計数字に基づき、今の日本の姿やこれからの日本の未来についてお話を頂きました。


例えば、日本人の多くが信じている間違った情報として、「『日本の経済は地に落ちた。』と言われているが、実際には、バブル期から30年たった現在、輸出額は倍に増えていることを挙げられ、財務省のホームページから得た統計をグラフ化したものを示しながら、「ネットなどで調べれば簡単に得られる情報なのに日本人は自分で調べることもなく、ただ周りがダメだと言っているからと、信じ切ってしまっている。」と、情報については鵜呑みにせず、裏付けをもって見極めることの大切さについて教えていただきました。

また、岩国市や東京、世界の各国をグーグルマップで示しながら、岩国にあって、都会にないものを生徒に問いかけられました。答えはずばり、緑の濃さ。藻谷さんは「サッカーのワールドカップが行われたカタールは、ほとんどが砂漠で、緑がない。何十億とお金をかけて海水を真水に代えて、水を撒き、緑を作っている。岩国は美しい錦川や田畑などの豊かな緑があり、恵まれている。カタールの人たちの気持ちを考えて欲しい。」と力説されました。


「岩国で暮らすのもいいかな。これからは、自分の地元の魅力にしっかりと気付いていきたい。」、「世界の映像や東京の未来について聞き、驚いた。これからは情報を批判的にみるようにしたい。」などの感想からは、藻谷さんの講演をきっかけに、当たり前を疑ってみることや視野を広げ、多面的に考えることの大切を感じ取っている様子が見受けられました。

クイズ形式による問いかけや生徒同士で話し合う機会などをふんだんに取り入れられ、生徒も真剣に考え、話し合うなど、非常に盛り上がりをみせた講演会の終わりに、藻谷さんは、「自然豊かで空港や新幹線の駅のある岩国市で暮らしていることを幸せに感じて欲しい。」「この素晴らしい岩国、日本において、これからも住み続けていくためにはどうしたらよいかまじめに考えて欲しい。」と力を込めて、岩高生に訴えられました。


藻谷さんは、翌日も講演を控えているということで、講演後はすぐに次の講演先に向かって、新幹線で移動されました。全国各地で講演をされており、この度もお忙しい中講演を引き受けていただきました。誠にありがとうございました。

講師紹介 藻谷浩介さん(日本総合研究所 調査部主席研究員)

 地域経済、観光、人口動態を詳細に調査し、講演活動を行っている。日本全国のほとんどの都市を旅行した経験を持ち、現地を歩いて回り、また市町村関係の統計数字や地域特性を詳しく把握した上で、その都市の抱える問題点を解析し、現場の実例も紹介しながらその都市の中心市街地活性化などまちづくりのあり方を提言している。